「ねえ聞いた?今夜、流星群なんだって!」
冬の空に、流れ星の予報が届く。
季節は段々と過ぎていき、
最近はすっかり冷たくなった。
きっと、済んだ空には星が鮮やかに輝くだろう。
耳をすませば、聞こえてくる。
あの人、この人、
あの遠い空を見て、流れる星を探すのだと。
人々の噂話が、聞こえてくる。
「ねえ、流れ星を見つけたら、どんな願い事をする?」
と。
ああ、あの星に願いを託す人たちよ。
あなたたちは知っているだろう。
星は、願いを叶えてくれやしないということを。
そして、あなたたちは知らないだろう。
願いを叶える存在は、確かに実在するということを。
それはあの遠い空ではなくて、
あなたのすぐそばにいるということを。
あなたは、知らないだろう。
「その願い、私に、私に話してくれ」
と。
気を揉むその心を、知らないだろう。
それでも愛して願いを叶え、
そうして誰にも気づいてもらえない。
その切なさを、知らないだろう。
頬を涙が伝うように、
あの夜空を伝う流れ星は
きっと。
彼が流した、涙なのだなぁ。
2018.1022
オリオン座流星群 前夜
Author:Nanami
大の神様嫌いだったのに、17歳から主に恋してしまった人。ペンギン好きな24歳(・Θ・)